レッスン前に念押しされたのが、英語とゲール語はまったく違う言語であるということ。実はそのメッセージを見て「え? そんなに違うの?」と思ったぐらいゲール語について無知だった私。参考としていろいろ送ってもらったYoutubeのURLの1つをクリックしてたまげました。
概要欄の歌詞を見ながら聴いてみたのですが、まったく音を追えません。書かれているのは見慣れたアルファベットなのに、読めない… 発音できない… ここでかなり不安が増しましたが、この曲はゲール民謡の中でもリズムをより重視したダンス音楽とのことで、私にはすごく短くて簡単なものを用意してくれるとのこと。そりゃそうですよね。よかった。
● 予習
先生が選んでくれたのは、Chaidh na fèidh thairis ort と Huis, Huis, Air An Each という2曲。簡単に言うと Chaidh... は鹿が出てくる歌で、Huis... は馬が出てくる歌です。事前にゲール語の歌詞と英語の対訳(Huis... は試聴できるWebページのリンク付)、そしてなんと Chaidh... は先生の歌を録音したMP3ファイルを送ってくれました。あら、いい声。そしてとてもお上手です。
しかし案の定、耳に入ってくる音と書かれているアルファベットがまったく結びつきません。たとえば、「ハ」と聞こえるのに、綴りは「cha」だったり「tha」だったり。なんぞこれ。そこで時間を有効に使うためにも、レッスンの直前ではあったけれど珍しく予習してみることに。まずは“Gaelic Alphabet”と検索して、見つけたサイトの発音表を見ながら歌詞にアルファベットでルビを振っていきました。なかなか大変でしたがようやくできたところで、確認作業。MP3に歌だけでなく歌詞をゆっくり読み上げたものも入れてくれていたので助かりました。が、私の振ったルビと微妙に違う。ここでやっと気付いたのですが、どうやら私はスコットランド・ゲール語ではなくアイルランド・ゲール語(※)の発音表を参照していたようです。予習意味無し。ここでもう時間切れです。
※先生のインタビューにもありますが、スコットランド・ゲール語 Scottish Gaelic とアイルランド・ゲール語 Irish Gaelic(単にアイルランド語 Irish とも)は似てはいるものの文法・語彙・発音すべてにおいて違いがあるそうです。 Wikipediaによると、英語でGaelic というと特にスコットランド・ゲール語を指すのに対し、日本語でゲール語というと大抵がアイルランド・ゲール語なんだとか。私もごっちゃになってました。
● 実践
前置きが長くなりましたが、やっとレッスンです。最初はちょっとだけ予習済みの Chaidh... を選びました。メロディーもゆったりしてきれいな曲で、歌い易そうだし。まずはざっと英訳を見ながら歌の意味を確認。ちなみにタイトルは、
Chaidh na fèidh thairis ort / The deer went over you
そう、実はこの歌、先生曰く鹿の群れにもみくちゃにされて下敷きになって死ぬか殺されるかした人を歌ったものなんだそうです。なんとまさかこんな歌詞とは。
全部の訳をここに書くのもなんなので、ゲール語という観点で気になった点をいくつか。
上のタイトルで言うと、「chaidh = went」「na fèidh = the deer」「thairis = over; across」とここまでは素直に納得。ただし次の「ort = on you」となるとちょっと違います。ただの you だと「thu」なのに、前置詞のついた on you の意味だと「ort」になるという。ということは、前置詞によって you 自体が形を変えるのか。なんだか覚えるのが大変そうです。
他にも、どうやら冠詞も英語よりたくさんバリエーション(数や性などで変化)があるらしいとか、何より名詞の格変化があるというのに驚きました。確かに英語とまったく違います。発音も先生の声をちゃんと真似しているつもりなのですが、できていないらしい。読むのに難儀したのは先に書いた通りですが、たとえばこの歌のタイトルを私が無理矢理片仮名にしてみると、「Chaidh na fèidh thairis ort ハイ ナ フィー ハィリシュ オルシュト」になります。どうですか。読めますか。ort のどこにシュ(のような音)があるんだろうと思ったけれど、このシュ(のような音)が入るのは方言の一つらしいです。
さて、こうしてゲール語についての説明をいろいろ聞いている間にこっそり歌詞に片仮名でルビを振り直し、先生と一緒にいざ歌ってみることにしました。
録音していないのでここでお伝えできないのが残念ですが、歌の善し悪しは別として、我ながらなかなかよくできたのではないかと。歌で覚えたものはただ喋るよりも歌った方が再現し易いということがわかりました。途中ふと“なんで私パソコンに向かって初めて会ったばかりの人と一緒に歌ってるんだろう”と素に戻って照れたりしましたが、2回目、3回目ともなると楽勝です。もっと練習したかったぐらい。先生にも gle mhath / very good と言ってもらえて大満足です。
字が汚くてすみません。苦労の跡が見えませんか。
今回習ったのは、ゆっくり歌ってもわずか数十秒の短い曲。もちろん深い理解までは到底無理ですが、“ゲール語を習った”という達成感は基本フレーズをいくつか覚えるより大きいかもしれません。「ゲール語の民謡が歌えます」って言えるなんて、なんだか素敵だと思いませんか(私はまだそんなレベルではありませんよ)。
さて、やけに歌が上手なスティーブン先生。大学で1年間 traditional music のコースを履修されたそうです。日本で 8年間暮らした経験があるとプロフィールにあったので、レッスン前は“カラオケで鍛えたのだろうか”などと失礼な想像をしてました。ほんとにすみません。
レッスンは英語で行われましたが、ところどころ専門用語は日本語に訳してテキストチャットで説明してくれたのでなんとか付いていくことができました、と私は思っているのですが先生がこれを読んだら苦笑いかもしれません。
とまれ、普通のレッスンなら挫折しそうなゲール語を楽しく学べたのはとてもよかったと思います。ぜひ残りの「Huis, Huis, Air An Each」も練習して(こっちの歌は悲惨な歌詞ではありませんよ)、どちらも友人たちに披露できるぐらいになってみたいと思います。
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言語 | スコットランド・ゲール語 |
レッスン名 | 歌うのは好きですか? Traditional Scottish Gaelic songs |
講師名 | Steven_R 先生 |
時間/料金 | 40分/2,000ポイント |
体験レッスン | なし |